アメリカ合衆国本土の太平洋沿岸北西部に位置し、カナダと国境を接しているワシントン州最大の都市シアトル。
山など自然と都市がうまく調和し、生活しやすい街として米国でも人気の高い街として知られています。
日本から直行便が出ており、アクセスが良いことから旅行先としても人気のあるシアトルですが、実は留学先としてもとてもおすすめです。
ここではシアトル留学についての費用や準備、必要な手続き、街並や特徴をまとめて紹介します。
シアトルってどんなところ?
別名「エメラルドシティ」と呼ばれるように森と湖をはじめとする雄大な自然が広がる美しい都市シアトル。
「全米で住みたい街」に毎年ランキング入りするシアトルは米国でも人気の高い魅力的な都市。マイクロソフトやボーイング、アマゾン、スターバックスなど世界的な企業が集まる所としても知られています。
またマリナーズの本拠地であるセーフティ・フィールドやシアトルに本拠地を置くNFLチームのシーホークスなど野球やサッカーでも有名な街です。
ベストシーズンは7月から9月、晴天が続く夏でも日本と違って湿度がなくとても快適に過ごすことができます。ただし10月から4月にかけては雨の日が多いので、折り畳みの傘があると便利です。
留学生にも優しい街シアトル
アメリカ人が住んでみたい都市№1に選ばれたことのあるシアトルは留学生にも優しい街でもあります。大企業の本社もあり、治安も比較的よく、安心して勉強に専念することができます。
日本食品が手に入りやすい
アメリカ留学というとハンバーガーやピザなどのファーストフードばかりで食生活に苦労した等の話をよく聞きますが、シアトルはアジアからの移民が多いことから食文化も豊かなのが特徴です。
シアトル・ダウンタウンにあり、アメリカでもっとも古いといわれるPike Place Market(パイクプレイスマーケット)では新鮮な魚介類、種類豊富な野菜や果物が楽しめます。
また多国籍なレストランが街のいたるところにあり、寿司やラーメンをはじめとする日本食レストランも数多くあります。
シアトルに本社を置くスーパーマーケット宇和島屋では、日本をはじめアジア食品を扱っており滞在中に日本食が恋しくなった時にも安心です。
ここで日本の食品を手に入れた後はアジアンフードコードというアジア料理のお店だけが揃ったフードコードや、日本でもお馴染みの紀伊国屋に立ち寄るのもおすすめです。
便利な交通機関
滞在中一番使用頻度が高くなると思われる交通手段がバス。
シアトルではバスの路線や本数が多く、通学に大きく役立ちます。
また、大学やコミュニティカレッジ前からシアトル・ダウンタウン行きのバスが出ているので観光地へのアクセスも良好。
まずはシアトルの交通系ICカード「ORCA」(オルカ)を購入しましょう。事前にチャージしたオルカカードを所持しておくことで、電車やバスを利用する際に専用の機械にかざすだけで済むのでとても便利です。
ただし日本と違って15~30分程度の遅延は当たり前、土日休日になると走っていないバスもあります。
心地よい場所が多く快適な街
シアトルは壮大な自然に囲まれアウトドアの環境が整っているとともにどのエリアにもカフェや公園、図書館といった勉強や読書、気分転換をするのにぴったりな場所がたくさんある快適な街です。
シアトル・ダウンタウンにあるスターバックス1号店は言わずと知れたコーヒーの発祥地。
ワシントン州のシンボルであるマウントレーニアは高山植物が咲き乱れ、野営の動物を見ることのできる国立公園として有名で、世界各国から多くの人がハイキングを楽しみに訪れる場所。
シアトルの名門校ワシントン大学の図書館は「米国で最も美しい図書館」に選ばれたことで有名な図書館。その読書室はまるで映画「ハリー・ポッター」の世界。草原な雰囲気の内観はもちろん、夜にライトアップされた外観も美しく、ぜひ訪れたい場所のひとつです。
シアトル留学で気をつけたい事
シアトルでは外出する場所や時間帯に気をつけて行動していれば犯罪に巻き込まれることはめったにありません。
しかしながら観光客でにぎわうダウンタウンにも治安が悪いエリアがいくつかあり、気をつけていないと怖い目にあうことが多いのも事実です。
また季節により日照時間の差が大きいことや、サマータイムと呼ばれる時間の移動にも注意が必要です。
遅い時間の交通手段はタクシーやUberを使う
シアトルは貧富の差が激しいことから、街にはホームレスや薬物中毒者が多いのが特徴です。
とくに酔った人やハイになった人が増えてくる夜の時間帯は、危険な目に遭う確率がかなり高くなる為、たとえ短い距離であったとしても徒歩で移動するのはとても危険です。
以前ダウンタウンで遊んだあと、夜の21時頃にバス停を探して歩いていたら、いつの間にか人通りの少ない裏道に辿りついてしまったことがあります。薬物の異臭が漂い、異様な雰囲気だったのを今でも思い出します。
また、シアトルのバス停でバスを待っていたら、近くにたむろしていたホームレスに注射針を刺されそうになったという怖い話も聞いたことがあります。
夜遅くや1人の時などは、人通りの多い安全な場所からタクシーやUberを呼ぶか、車で迎えにきてもらう等の工夫をして安全に帰るようにしましょう。
昼間でも要注意なチャイナタウン駅近辺
日本街や中国風なお店が数多く立ち並び、歴史ある古い街並みで人気の観光スポットですが、同時に観光客を狙ったスリやひったくり、盗難や置き引きなどの犯罪が多いことも知っておかなくてはなりません。
昼間でもほかの地域と比べると人通りが少なく怪しげで暗い雰囲気だったので、一人での観光もあまりおすすめできません。
夏と冬の日照時間の差に注意
日本でも夏と冬では2~3時間ほどの日照時間の差が見られますが、シアトルはその差が大きいのが特徴です。午後10時過ぎまで明るい夏場に対し、冬場は午後4時ごろには日が落ちます。
Spring Forward (スプリング・フォワード)とFall Back(フォール・バック)を知っておく
アメリカでは年に2度、時間が移動するサマータイムと呼ばれるものがあります。
サマータイムとは3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までを指し、サマータイム初日は1時間進みサマータイム終了時に1時間戻ります。
スマートフォンやほとんどの電子機器類は自動で時間が変更されますが、腕時計などは前日に時間を変更しておく必要があります。
Spring Forward (スプリング・フォワード)とFall Back(フォール・バック)というフレーズがあるように、春は1時間進める、秋は1時間戻すことを忘れないようにしましょう。
シアトル留学にはいくらかかるの?
留学でいちばん気になるのはやはり費用のこと。
ここでは出発前にかかる費用と、10ヶ月留学した場合の滞在中にかかる費用を紹介します。
出発前にかかる費用
ホームステイ斡旋料 約4万円
海外生活を考える上で、滞在先は学校選びより大切です。
留学中の滞在先をホームステイにする場合、留学会社やホームステイ斡旋会社にホームステイ先を手配してもらう費用が必要となります。
学校が備えている寮またはアパート(ルームシェア)を利用するという滞在方法もありますが、安全面でもはじめての海外生活の場合ホームステイがおすすめです。
語学力の上達はもちろん、その国の文化や習慣を受け入れながら海外生活をすることで新しい価値観や考え方が身につき、自分の成長にもつながります。
渡航手続き費用 約9万円
ビザの取得など留学に必要な書類の作成や申請をするのに必要な費用です。
留学生用海外旅行保険 約12万円
海外では日本に比べはるかに高額な医療費がかかる為、海外旅行傷害保険に必ず加入しておきましょう。
往路航空運賃 約14万円
日本からシアトル間の往路の航空運賃、空港使用料、航空保険、燃油費などの金額です。ただし利用する航空会社や時期によって異なります。
現地でかかる費用
留学中のホームステイ費 約95万円
食事付きのプランにするか食事抜きのプランにするかで費用は異なりますが、週5日分の朝夕食の食事代を付けた場合の費用です。
授業料 約105万円
通う学校により異なりますが、費用も安くコミュニティカレッジから4年制大学への編入を考えている留学生に人気なのがシアトルから約20km郊外のボセルにあるカスケディアカレッジ。
シアトル周辺のコミュニティカレッジに通う多くの留学生が編入を考えているワシントン大学(UW)のボセル校と同じ敷地内にあります。
教科書代 約9~10万円
新品だと10万円前後の費用がかかりますが、中古を購入することで費用を抑えることもできます。
通学交通費 約11万円
ホームステイ先から学校までバスで通学する場合、お金を持ち歩くよりシアトルの交通系ICカード「ORCA」(オルカ)がおすすめです。
事前にチャージしたオルカカードを所持しておくことで、電車やバスを利用する際は専用の機械にかざすだけで済むのでとても便利です。
復路航空運賃 約11万円
シアトルから日本の復路の航空運賃、空港使用料、航空保険、燃料費などです。
シアトル留学に必要な手続き
シアトル留学に必要な手続きの流れを詳しく解説します。
学生ビザ(F1)と在学証明書(I-20)について
シアトルへ語学留学するには、パスポートのほかにアメリカの学生ビザ(F1)と在学証・明書・在留資格証明書(I-20)が必要になります。
まず、学生ビザとはアメリカに入国するために必要なものです。このビザを取得することでアメリカ国内のコミュニティカレッジや大学などでの勉強や運転免許取得ができるようになります。
通う学校によってプログラムの長さが違うので有効期限も異なりますが、通常コミュニティカレッジなどでの語学留学では最長で2年間、大学への編入や大学院を目指している場合は最長で5年間ビザの有効期限を持つことができます。
一方でI-20はアメリカで勉強する資格を通う学校に証明するために必要なものです。つまり学生ビザはアメリカ政府から発行されるのに対し、I-20はアメリカで通う学校から発行されるものになります。
手続きの流れ
取得する手順としては、入学書類の提出によって学校からI-20が送付され、その後 に学生ビザを申請する際にこのI-20が必要となります。
学生ビザ申請にはまずアメリカ大使館ウェブサイトにて申請にかかる料金の支払い方法を確認し、支払いを済ませた後に大使館での面接の予約を取ります。面接には過去6か月以内に撮影した証明写真(5cm×5cm)が必要になるのであらかじめ用意しておきます。
シアトル留学前に準備しておきたい事
シアトル留学前に準備しおきたい大切なポイントをご紹介します。
SIMフリー携帯もしくは現地で使えるSIMカードの購入
シアトルでは空港をはじめ無料Wi-Fiが使えるところがほとんどありません。
日本で使用している携帯電話やスマートフォンのSIMロックを解除しておき、現地のSIMカードを事前に購入しておくことで、シアトルも到着後も端末をそのまま使用することができます。
解除ができない端末の場合はSIMフリーの携帯電話かWi-Fiルータを購入しておくとよいです。
渡米前に日本の自宅へ配送してもらえるSIMカードやSIMフリー携帯を日本の自宅へ配送してもらえるKDDIなどの国際通信サービスがおすすめです。
パスポートの有効期限を確認
留学中にアメリカパスポートの有効期限が切れないように予めチェックしておきましょう。
ちなみにアメリカは帰国時までの有効期限があれば大丈夫です。またビザが貼付されたページと顔写真のページをコピーし、滞在中はそれらを携帯しておきましょう。
海外留学保険に加入
アメリカではほとんどの大学で、大学が指定する保険に入る必要があります。
最初のうち(留学して1年から2年くらい)はこの大学指定の保険のほかに海外留学保険証にも加入しておくと安心です。
アメリカの医療費が日本に比べてとても高いことはよく知られていますが、実は保険の支払請求の手続きも意外と複雑で手間がかかります。
この海外留学保険に加入しておくことで支払請求の際に必要になる書類や手順などを日本語で説明してもらうことができます。
滞在するならどこがおすすめ?
観光ではシアトルのダウンタウンは訪れたいスポットがたくさんあって楽しいですが、夜の治安があまり良くないため語学留学での滞在先としてはあまりおすすめできません。
今回は、ダウンタウンから少し離れたところで留学生にぴったりな滞在エリアをいくつか紹介します。
リンウッド
大型ショッピングモールや韓国の大型スーパーマーケットがあり、アジア人も多く住んでいるエリアです。寿司やラーメンなど日本食レストランもたくさんあるので日本人にも馴染みやすい街です。
ウッディンビル
ダウンタウンから1時間ほどのところにある、ワイナリーでも有名な緑あふれる郊外の街。木々に囲まれ落ち着いた雰囲気の中で勉強に集中したい人にぴったりです。
カークランド
目の前にワシントン湖の広がるきれいな街です。湖を一望できるレストランやホテル、カフェなどが集まっており、おしゃれな雰囲気。
街には立派な図書館もあり、勉強にもおすすめ。またダウンタウンへのアクセスも良好です。
シアトル留学まとめ
自然が溢れる緑豊かな街でありながら近代的都市の魅力も兼ねそろえた住みやすいシアトル。
過ごしやすい気候と交通機関が便利であること、治安も比較的よく、安心して勉強に専念することができる点で語学留学にとてもおすすめできる街でもあります。
治安の悪いエリアに行かない、夜遅くの外出は控えるなど場所や時間帯に気をつけて行動していればトラブルに巻き込まれることなく有意義な滞在生活を送ることができるでしょう。
食文化も豊かで心地よい場所が多い穏やかな雰囲気であることから、海外での生活が初めてとなる留学生でも快適に過ごすことができるはずです。